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■歯科矯正治療と抜歯

矯正治療を始めようと思われた患者さんの中で、歯科医に相談したところ、永久歯を抜かないといけませんねと指摘されるケースがあります。患者さんにとっては、きれいな永久歯を抜くなんてと大変気がかりなことだと思います。20210916-2.png

歯科矯正治療の診断を行う際、『抜歯が必要か、抜歯しないで治すことができるか』ということは、大変重要なポイントです。歯科医師が矯正治療を開始しようとする場合に、最初から安易に歯を抜こうと考えることはないと思います。何とか歯を抜かずに治療ができないものか案じ、そのためにいろいろな方法を考えると思いますが、もちろん限界があります。

よく患者さんからは、何とか歯を抜かずに矯正治療ができませんかという質問をお受けしますが、そのお答えとしましては『歯を抜かずに治療して良好な噛み合わせが得られ、かつ、口元のバランスも良く、矯正治療後の歯並びが長年にわたって安定すると判断できる場合には歯は抜かない』ということになります。

すなわち、抜歯が必要な症例にもかかわらず、無理に歯を抜かずに治療して、結局よくならなかったのでは、何のために矯正治療を受けたのかということになってしまいます。

患者さんそれぞれの方々のいろいろな条件によっても違ってきますが、乳歯から永久歯に生え変わる時期に適切な対応をすることによって、歯を抜かないで治療を行える可能性が高まる場合も見受けられます。
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ただ、矯正治療を始める場合は、この歯を抜かないといけないかどうかのポイントだけではなく、他にも重要なことがあります。患者さんにとって、総合的にどのような治療がベストなのかをしっかりと見極める必要があると思います。



■「態癖(たいへき)」ってご存知ですか?

日常の生活習慣の中で、無意識に行うさまざまな習癖が長期に及ぶことにより、歯を動かしあごや顔、さらには全身に大きな影響を及ぼす、このあごや歯並びに悪影響を及ぼす習慣を態癖と言います。

20210916-3.png昔から指しゃぶりや舌の癖が歯並びを悪くすることはよく知られています。歯は根っこ骨の中にしっかり埋まっているのですが、矯正治療の原理と同様に持続的な力を加えると動きます。日常の習慣の中で下唇をよくかんだりしていると上の前歯が前へ出てきたり、頬づえをつく、うつぶせ寝をしていると奥の歯並びが狭くなったり、歯が内側へ倒れてきたりします。また顎が左右へずれたり、下顎が少しずつ後退し、噛み合わせが悪くなったりすることもあります。

特に注意しなければいけないのが成長発育期のお子様です。食事中に横を向きながらテレビを見ていると片がみになってあごのズレが起こります。両耳の穴の前の顎(がく)関節のところで左右均等に骨が徐々に添加される時期に下あごに態癖の力が加わり、成人になって顔のゆがみに結びつくことがあります。

顎が歪むとバランスを補うために姿勢が歪みます。姿勢の歪みは、将来さまざまな全身症状を引き起こすかもしれません。

さらに、意外と知られていないのが『上下歯列接触癖』です。今あなたがリラックスした状態で上下の歯が明らかに触れ合っているのなら、それは異常な習癖です。安静時は上下歯列の間にすき間があるのが正常です。一日の上下の歯の接触時間の総計は平均10分〜20分であると言われています。

もし接触時間が長時間に及ぶ場合には、これが原因で歯や歯の周囲の組織を傷めたり、肩こりなどの身体の変調をきたすかもしれません。できる限り無用に歯を接触させないように意識しましょう。態癖は毎日の小さな習慣の中に潜んでいます。それらに気づくことで歯並びや噛合せを守り、歯や身体の健康維持に努めましょう。

※・頬杖・うつ伏せ寝・右向き寝・左向き寝 このような癖を「態癖」(たいへき)と言う

 


■歯周病の検診

現代の日本人は、程度のさこそあれ、成人の約80%が歯周病にかかっています。歯周病とは歯をささえる歯ぐきや骨などの組織が歯周病菌に感染することで起きる病気です。若年者にもかかっている方が増えてきていますが、歯周病はほとんど痛みを感じることなく進行し、50歳以上の方では歯を失う原因の第一位になっています。

また歯周病菌は歯の健康だけでなく、体力が落ちた人では食物の誤嚥により肺に入ると肺炎になることもありますし、血液に入ると心臓病や糖尿病の悪化、妊婦さんでは早産(低出生体重児出産)の原因にもなるなど、全身の健康に影響をおよぼすやっかいで危険な細菌でもあります。

歯周票には歯ぐきだけの感染による歯肉炎と、その下の骨などにまで感染した歯周炎の二つのタイプがありますが、現在の歯科治療では、歯肉炎はなおせても歯周炎は進行を抑えることしかできません(歯周組織の再生医療の研究はされていますが)。

そのため、歯肉炎は歯周炎に進行させないために早期の治療が重要ですし、歯周炎の進行を止めるためにも、検診による早期発見が重要となります。そのためには、定期的な検診をうけることにより、ご自分の歯周組織の状態を知ることが大切です。

歯ぐきが赤くはれて歯みがきで血が出る、歯が揺れて食べ物がよく詰まる、口の中がねばついて口臭が気になる、こんな症状が気になる方は要注意です。
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■歯周組織再生療法について

「歯周病で歯を支えている骨がなくなっている」と言われましたが、再生療法で治るのでしょうか?現在、歯周病組織再生療法には、特殊な膜を使って歯槽骨が再生するスペースを確保する「GTR法」

・歯の発生過程を再現させる特殊なたんぱく質である「エナメル基質タンパク」を用いた「エムドゲイン法」
・骨欠損部に直接骨を埋め込む「骨移植法」
・これらを組み合わせて用いる方法

などがあります。その多くの治療法は医療保険適用外ですが、最近一部の材料(膜)を使ったGTR法で医療保険が使えるようになりました。

歯周病の症状が軽い場合、ていねいなブラッシングをし、歯石を取り除けば症状は改善します。しかし、さらに病気が進んで歯周ポケットという歯と歯茎のすき間が深くなり、歯槽骨がでこぼこに失われた場合は、歯周外科手術が必要となります。歯槽骨を削って平らになら歯周ポケットを浅くする切除療法が一般的ですが、それとは逆になくなった歯槽骨を再生させて歯周ポケットを浅くする再生療法があります。

一般的にGTR法は比較的幅の広い範囲に歯槽骨が失われているケースに、エムドゲイン法はくさび状に深く歯槽骨が失われているケースに主に用いられます。

再生療法はあくまでも歯の延命治療です。破壊された週組織を取り戻すことができ、歯の保存に力を発揮します。しかし、すべての症例に適応できるわけではありません。歯槽骨が水平に無くなったり、歯根の周りの骨がほとんどなくなった場合、再生療法は難しいでしょう。

症状が軽度・中等度なら再生療法の成功につながります。早期発見、早期治療が重要なのは言うまでもありません。
※2017年から歯周組織再生医療薬(リグロス)が保険で使用可能となりました。

 


■油断大敵!むし歯の話
 
最近は定期健診を受けて、むし歯がなく良い状態を保っている漢書さんが増えてきています。ところが、突然むし歯ができる、しかもたくさんできることがあります。別に歯みがきをさぼっていたわけではありません。何故でしょうか?

Aさんは就職後いそがしくなり、久しぶりに来院すると、歯と歯の間に多くのむし歯ができていました。これは仕事で車に乗る時間が増え、その間に微糖のコーヒー1本をチビチビ飲んでいたのが原因でした。

高齢のBさんはがん治療を受けている間にむし歯が増えてしまいました。がんがむし歯を作ったわけではありません。がん治療の副作用でお口が乾き、あめが手放せなくなっていたからです。
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C君は中学卒業まではむし歯はありませんでした。しかし高校に入りしばらくして来院すると、むし歯がたくさんできていました。特に甘いものは食べていないとのことでしたが、詳しく話を聞くと、クラブ活動で先生からこまめに水分補給をするように言われていました。

ただ、この飲み物がいわゆるスポーツドリンクだってのです(ほとんどのスポーツドリンクには糖分がたくさん入っています)。

いずれの患者さんも甘い物の取り過ぎがむし歯の原因になることは知っていましたが、生活や環境が変わった時にそのことを忘れ、知らないうちに甘い物がお口に入っていたようです。

少量の甘い物でも長い時間お口の中にあると、あっという間にむし歯ができてしまいます。

勿論甘い物は楽しみであったり、エネルギーになったり、気分転換になったりと良い面もありますが、長い時間お口の中に入れないように気をつけましょう。

大切な歯を長持ちさせるためには、かかりつけ歯科で定期健診をうけ、食生活のアドバイスや、お口の病気の早期発見早期治療をしてもらうとよいでしょう。
 
 
■むし歯予防とフッ素
 
虫歯予防としてよく知られているものにフッ素があります。特に生えたての歯のエナメル質は成熟しておらずフッ素の効果が高いとされています。
現在フッ素はほとんどの歯磨き粉に含まれており、フッ素入りでない歯磨き粉を探す方が難しい状況です。すなわち、歯磨き粉を使用していると知らず知らずのうちにフッ素による虫歯予防を行っていることになります。1990年代の歯磨き粉は30%から50%の製品にしかフッ素が入っていませんでした。
 
フッ素を使ったむし歯予防の方法にはフッ素洗口、フッ素塗布などがあり、歯科医院あるいは保健所、学校等で行われています。近年歯周病により歯肉がやせ、歯の根の部分のむし歯が多くみられるようになりました。この根の部分のむし歯予防にフッ素の効果が再認識されるようになってきました。
 
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また、フッ素はむし歯予防だけでなく、ごく初期のむし歯に対してもむし歯を抑制するという効果があります。これは歯の再石灰化を促す効果があるためです。しかし、穴があいたようなむし歯には効果がありません。むし歯の予防は穴があく前の段階での話ですのでお間違えなく。
 
2015年9月より病院の薬の成分を市販薬に転用したスイッチOTC薬剤として虫歯予防用のフッ素洗口市販薬が薬局で販売されるようになりました。これにより歯科医院でしか購入できなかったむし歯予防薬が薬局でも購入できるようになりました。フッ素によりむし歯予防は子供だけでなく大人にも有効です。
 
しかし、フッ素だけに頼るむし歯予防は危険です。むし歯はいろいろな要因で起こる病気です。そのため予防にはいろいろな方法を組み合わせることが必要です。むし歯予防を確実にするために定期的に歯科医院を受診、自分に適した予防法の指導を受けることをお勧めします。

 


■抜歯について

抜歯を宣告されましたが抜きたくないと思うことがありますね。この場合、二通りが考えられます。抜歯の必要性がわかっていても気持ちに踏ん切りがつかないだけなのか、抜歯の必要性自体が理解や納得できないからか、どちらでしょうか?

単に気持ちの踏ん切りがつかない場合には、踏ん切りがつくまで待つしかありません。必要性自体が理解や納得できない場合には主治医の先生にきちんと説明をして貰いましょう。なぜ抜歯しないといけないのか、抜歯しないとどうなるのか。どんな治療もそうですが、物事には二つの面があります。

それをすることによってもたらされる利益(痛みや腫れが治まる、など)と不利益(怖い、歯を入れないといけなくなる、など)です。主治医の先生が抜歯することの利益の方が大きいと判断された場合は抜歯をお勧めします。

2021011216015338952.jpgたとえ現時点であなたが不利益を感じてなくても、将来不利益に直面するだろうと容易に判断できる場合も多々あります。説明を求めれば必ず答えてもらえるはずですし、その義務が歯科医にはあります。

もしもあなたが抜歯をしない場合に想定される不利益をきちんと理解し、またそれも承知の上で抜歯をしないと決めたのなら、それを覆して無理に抜歯をする権利は医師にはありません。その際には次善の策を講じることになります。

抜歯の必要性も理解し、気持ちも固まれば、抜歯の日程を決めることになります。歯の状態によりさまざまですが、一般的には抜歯後に腫れたり痛んだりということは十分考えられますので、旅行や宴席など大事なイベントの前の少なくとも一週間は避けるようにした方が賢明でしょう。



■親知らずは抜いたほうがいい?

親知らずとは、一番奥に生えてくる歯で、正式には「第三大臼歯」といいます。最近ではもともとない方もいますが、昔の人は寿命が短く、親知らずが生えてくる頃にはすでに親が亡くなっているというのが名前の由来だと言われています。

親知らずは、正常に生えてこない場合や、歯ぐきや顎の骨の中に埋まったままの場合もあります。生え方や埋まり方によっては、歯ぐきが腫れたり、強い痛みが出たり、また、うみがたまり口臭がしたりすることがあります。炎症がひどくなると、顔が腫れ、口が開けられなくなることもあります。
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また、親知らずとその一つ手前の歯との間はむし歯になりやすく、両方の歯がむし歯になってしまうこともあります。

生え方によっては、手前の歯の根を吸収させてしまうこともあります(放置していると、場合により親知らずと手前の歯の両方を抜歯しなければならないこともあります)。

生え方によっては、歯並びや噛み合わせを悪くする原因の一つにもなります。

このため、親知らずは抜歯することも多いのですが、親知らずの抜歯は比較的難しい処置になることもあり、特に下の親知らずは抜いた後、顔が腫れ、長期間板が続くことも少なくありません。また、親知らずの根の近くを下唇の周りの感覚を感じる神経が通っており、術後にしびれが残る場合もあります。

逆に正常に生えている場合は、親知らずだからといって抜歯する必要はありません。
抜歯が必要かどうかは、レントゲン撮影などを行い、総合的な判断が必要です。奥歯の歯の方に違和感や痛みがある場合は泉田歯科医院でご相談ください。

 


■口から食べることの大切さ

私たちにとって「口から食べる」ということは、生活を楽しむ上で欠かせないことです。あるアンケート調査で、特別養護老人ホームや老人保健施設などの利用者に「現在の楽しみは何?」と尋ねたところ、一番多かったのは「食事」と答えた人です。 
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口にはたくさんの機能がありますが、食べるときに重要なのは歯、舌、唾液の機能です。歯は食べ物を細かくかみ砕き、すり潰して消化を助ける役割があります。これを咀嚼(そしゃく)と言って、脳や神経系を刺激して活性化させます。

次に舌は味を感じるだけでなく、口にしたものが体にとって危険であるかないかを識別します。また、咀嚼したものを舌と上顎で押し潰し、唾液と混ぜ合わせて飲み込む塊をつくって喉へと流し込みます。 口の中にはやく300〜700種類、数千億の細菌がいるといわれていますが、唾液には食べものの消化を助ける働きと、口の中を殺菌するという重要な役割があります。

唾液の中には免疫系に関わるものが多く含まれているので、唾液が減って口の中が乾燥すると口の中に入ってきた病原菌などを殺菌できなくなり、細菌の住み家になってしまいます。 食べたり話したりすることで唾液も出て、飲み込むと細菌も同時に胃や腸で消化されて、病原菌も処理されます。

口から食べることは、食べものを咀嚼したり飲み込んだり、味を感じさせることで脳や神経系を刺激して活性化させ、全身の免疫力や抵抗力を高めることにつながります。口の機能が低下すると生活の質(QOL)も低下してしまうので口から食べて、その機能を最大限に使い、QOLの維持と向上を目指しましょう。



■鼻呼吸の大切さ

近ごろ、お口がポカンと開いている子どもや若者が多いことに気づかれていますか?そのほとんどは、口で呼吸をしている「口呼吸」の人です。 本来、老若男女を問わず人間の構造上、鼻で呼吸をするようにできています。鼻から息を吸うことで鼻の繊毛や粘液でウイルスや汚染物質の侵入を防いだり、鼻で空気を吸うことで空気が体温近くまで温められたりしますが、口呼吸では冷たい外気のまま肺に届き、肺の免疫力が低下し、肺にかかる負担が増えて風邪をひきやすくなることがあります。

せっかく加湿器や空気洗浄機を部屋に備えていても、口呼吸をしていると口、気道、肺が乾燥し、その効力が薄れてしまいます。 また、鼻呼吸は口の中の唾液の分泌を促します。唾液の中には、ウイルスの活性化や感染力を抑制する物質が存在します。

しかし、口呼吸で口の中が乾燥すると口の中や喉の奥にいる細菌が増殖し、それから出る酸素がウイルスを活性化させ、口臭やむし歯、歯周病に感染するリスクが高まります。 哺乳類は、生まれてから、母乳を吸うことで鼻呼吸を覚えるといわれています。しかし、離乳時期が早いこと、食べものが柔らかくなったこと、指吸いやアレルギーが原因で口呼吸が始まるといわれています。

さらに幼児期から口を開けている時間が長いと、口の周りの筋肉が弱くなるため、歯並びが悪くなったり、上下のかみ合せが開くようになります。さらに口呼吸のまま成人すると、睡眠時無呼吸症候群になるなど、全身的な病気の心配が出てきます。 そうならないためには、お口の周りのリハビリテーションが必要になります。ご家庭でも簡単にできる方法としては「あいうべ体操」があります。

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毎日数回この体操をすることによって、舌や口の周りの筋肉を強化することができ、年齢を問わず、鼻呼吸をして健康管理ができることが期待できます。 口呼吸の心配がある方はもちろん、体操のやり方やお口の周りのリハビリテーションにご興味のある方は、お気軽に泉田歯科医院まで相談ください。

 


■歯周病と糖尿病の悪い関係
 
歯周病と糖尿病。一見、何も関係のないように見えるこの二つの病気が、近年さまざまな研究でお互いに影響を及ぼし合う悪い関係にあることが分かってきました。歯周病とはむし歯とならぶ、口の二大疾患の一つです。
 
主な原因は歯と歯ぐきの境目の、磨き残しに含まれる歯周病細菌であり、その歯周病細菌が歯の周りで歯の根を支えている骨を溶かしていく病気です。重症化すると痛み、歯の動揺、臭いなどの症状が出ますが、初期にはほとんど自覚症状がないので、放置すれば気づかないうちに進行する怖い病気です。程度には差がありますが、成人の約8割がかかっていると推測されています。
 
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一方、糖尿病は血液中のブドウ糖が多すぎる状態になる病気です。そしてこの状態が続くと、まず細い血管や神経に影響が出て、網膜症(放置すると失明)、腎症(放置すると人工透析)、神経障害等の合併症を、また太い血管まで影響が及ぶと脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなる怖い病気です。

糖尿病も初期には自覚症状がはっきりしないため、内科の健診も治療も受けずに放置すれば重症化しやすい病気です。
 
二つの病気が、互いに悪い影響を及ぼします。具体的には糖尿病が重度になると歯周病が悪化し、治りにくくなり、歯周病が重度になると糖尿病も悪化して治りにくくなります。しかし、悪い話ばかりではありません。逆に言えば、今まで改善しにくかった糖尿病が、歯周病治療を受けることにより改善すること家、糖尿病治療を受けることで歯周病の治療に良い影響が出ることもわかってきました。
現在日本全国で、医科と歯科で連携して糖尿病と州病の治療を行う取り組みも進んでいます。どちらも自覚症状が出にくい病気なので、中高年以降の方で内科と歯科の健診を定期的に受けておられない方は、ぜひこの機会に受診されることをお勧めします。
 
 
 
■歯周病治療が健康を守る
 
皆さんはご存知でしょうか。40歳以降で歯を失う一番の原因は、実はむし歯ではなく歯周病です。日本の成人の約8割がかかっていると言われており、年齢を重ねるにつれ唾液の分泌量が減り、口の中が乾燥するという事が主要な環境要因の一つとなって、歯周病菌が増えやすい状態へと変化していきます。また、自覚症状がほとんどなく、ひどくなるまで気づかないのが歯周病です。

歯周病は歯を失うだけの病気ではなく、さまざまな疾患に悪影響を及ぼす恐れもあります。例えば「糖尿病」「心臓病」「呼吸器疾患」「早産・低体重児出産」などです。特に歯周病と糖尿病にいては、多方面からの指摘が挙がっています。

まず、糖尿病が歯周病へ与える影響として、糖尿病で高血糖状態が続くと細菌に対する抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。歯周病も細菌感染をしているため、そのリスクは高まります。また高血糖症状では尿が出やすくなることで口の中が渇き、さらに唾液に含まれる糖分濃度が高くなることで歯周病菌が増えやすい環境になります。

次に、歯周病が糖尿病へ与える影響として、歯周病による炎症性物質が血糖をコントロールするインスリンの働きを妨げ、糖尿病を悪化させる危険性があります。最近の研究成果から糖尿病の人が歯周病をしっかり治療すると血糖コントロールの指標であるHbA1cが改善することについては、もはや常識となっています。

歯を残すことは「おいしく食べる」「楽しくしゃべる」「豊かな表情」など、QOL(生活の質)の維持だけでなく、全身疾患の予防にも欠かせません。ご自宅での正しい歯磨きで診に見える部分を綺麗にし、自分ではケアが難しい部分を歯科医院で綺麗にすることで、笑顔あふれる良い人生を送っていただきたいと思います。

 


■楽しい食事
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いかなご、たらの芽、タケノコなど、春はおいしい食材が店先に並びます。しかしせっかくの食事も歯が健康でなければおいしくいただくことができません。取り外しの部分が義歯や総義歯を使っている方から、毎日の食事の苦労をお聞きします。

かぶせや固定式のブリッジではあまり気にならなかったのに、義歯を使うようになってから急に食事がしづらくなったとか、義歯だから柔らかいものしか食べられないとあきらめいてる、といった内容です。

どうして義歯では食事がしづらくなるのでしょうか?多くは、合わない義歯を使用している場合です。これは義歯の修正で対応できる場合と、新しい義歯の製作が必要になる場合があります。

次に、義歯はよくあっているのですが、かみ合わせなどの調製がまだ不十分な場合です。これは新しい義歯を装着して間もない時期によく見受けられます。

診療室では、かみ合わせや、歯ぐきと義歯がよくあっているかを何回も調べます。しかし、食事中の口は上下だけでなく左右や前後に複雑に動いて食べ物を噛みすりつぶしていきます。この精密な調節には回数と時間が必要になります。

義歯は完成までに、型を採ったりかみ合わせを採るために診療所に何回も通う必要がありますが、新しい義歯を使いこなせるようになるためには、それ以上に何回も調整が必要になります。1、2回の調製で治らないから義歯はこんなものだとあきらめずに、かかりつけの先生に相談してください。

また一度なじんだ義歯でも、毎日使用しているうちに少しずつ人工の歯が摩耗し、調整が必要になる場合もあります。義歯とうまく付き合って食事を楽しむためにも、定期的にケアを受けるようにしてください。



■入れ歯の定期検診
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「この入れ歯は何年もつの?」「どれくらいで作り直すの?」と言う質問をよく受けます。入れ歯の材料は通常アクリルレジン(ポリメチルメタクリレート)でできています。これは1937年に発表されて現在に至るまで70年以上もの間使用され続けています。この他にはポリカーボネートを使用する入れ歯もあります。

アクリルレジンの短所には、吸水性がある、汚れやにおいがつきやすい、カンジダ菌を主体とした細菌が付着しやすい、傷がつきやすい、などがあります。入れ歯の試用期間が長くなると、入れ歯を取り巻く口の中の環境は徐々に変化します。

では入れ歯が合わなくなる場合はどんな時でしょうか?

・一つ目は歯ぐきが痩せてきた場合
・二つ目は残っている歯の状態が変化した場合
・三つ目は入れ歯の歯が摩耗してしまい、うまくかめなくなってしまった場合

などが、考えられます

顎の骨は時間の経過とともに吸収していきます。すると、入れ歯が緩くなったり、合わなくなったりします。場合によっては入れ歯が破折することもあります。歯を喪失すると、部分入れ歯ではバネによる支えが効かなくなり、口の中で動くので痛みが出ることがあります。

歯が摩耗すると、以前はかみきれていたものでもうまくかめなくなります。すると、無理にかもうとするため、歯ぐきにあたって痛みが出ることがあります。

入れ歯においても定期検診は必要です。定期検診では、かみ合わせの状態、歯ぐきとの間に隙間がてきて入れ歯が緩くなっていないか、などをチェックします。入れ歯に汚れがついて侭田と口臭の原因にもなります。

入れ歯を快適に使用するには、少なくとも1年に2回の定期検査を受けると良いでしょう。


 


■入れ歯で寿命が伸び縮み?

20210603-1.png2011年の調査で、80歳で20本以上の歯が残っている「8020」の達成者は38.3%となりました。05年にあった前回調査の24.1%から大きく伸び、大変喜ばしいことです。

では、残る歯が増えることで、取り外しができる部分入れ歯や総入れ歯(以下入れ歯)を使う人は減っているのでしょうか? 推計によれば、入れ歯を使用する人の割合は減ってきているのですが、高齢者の人口増により入れ歯を使う人の総数はまだしばらく増えていくようです。

そもそも入れ歯は何故必要なのでしょうか? それは多くの歯がなくなると、奥歯なら「噛みにくい」、前歯なら「見た目が悪い」「しゃべりづらい」などの不便さが生じるためです。失われた機能や形を回復し、残りの歯を守る意味でも歯を補う必要があり、保険治療では入れ歯が選択される場合が多いのです。

では、不便がなければ入れ歯は必要ないのでしょうか? 現在世界中で歯の数と寿命との関係について研究が行なわれています。その結果、研究により差はあるものの、歯があるほど寿命が延びることがわかってきました。さらに別の研究では、歯が少なくても入れ歯で補うことで寿命を延ばす効果があることがわかりました。入れ歯ってすごいですね。

しかし、入れ歯が逆効果になることもあります。実際にあった話ですが、介護施設から最近入所された方の歯が動くので見てほしいと依頼がありました。お口の中を見ると、何カ月も外されいない、汚れたままの部分入れ歯が隣の歯と共にグラグラと動いていました。着けたままの入れ歯が汚れをため込み、隣の歯も痛めつけていたのです。

社会の高齢化が進むと、入院や認知症など様々な理由で自分の入れ歯を管理できない人が増えていきます。汚れた入れ歯を着けたままでいるとお口の中の細菌が増え、誤嚥性肺炎になる危険性も高まります。ご家族を介護されている方や、病院、介護関係者には注意していただきたいものです。



■入れ歯の手入れ
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質問:「最近、入れ歯を入れている母親が脳梗塞で倒れ、自宅で介護することになりました。麻痺もあり、私が入れ歯の手入れをしてあげようと思いますが、注意すべきことは何ですか?」


お口の手入れが悪いと歯に歯垢(=細菌等)が付着します。歯垢は歯だけではなく、入れ歯にも付着しますので、毎食後と就寝前には、歯と同時に必ず入れ歯の清掃をしてください。

清掃のときは必ず入れ歯を外して、お口の清掃とは別に行います。水かぬるま湯を注ぎながら、普通の歯ブラシか、できれば入れ歯専用のブラシで全体を丁寧に清掃してください。この時、入れ歯を落とすと割れたり変形したりしますので注意してください。お水を入れた洗面器等の上で行うと、落とした時も安心です。しかし入れ歯洗浄剤だけではすべての汚れは除去できませんので、毎日のブラシでの清掃は欠かさずに行ってください。

就寝時のお口の中は特に細菌が繁殖しやすく、入れ歯を装着したまま寝ると入れ歯が細菌のたまり場になりますので、必ず入れ歯を外して寝かせてあげてください。入れ歯は乾燥すると不潔な付着物が固まってしまい、清掃時に除去しようとすると入れ歯にキズが付いたり、除去のために無理な力を加えると壊れたりしますので、必ず清潔な水か洗浄液の入った専用の容器等に保管してください。

また、お母様に麻痺があるとのことですが、お口の清掃も十分に行えないと思いますので、大変だとは思いますが、残ってる歯があれば歯磨きの仕上げもしてあげてください。歯がなくても舌にも汚れが付着しますので、舌ブラシかやわらかめの歯ブラシで舌磨きもしてあげましょう。かかりつけの歯医者があるようでしたら、可能であれば定期的に往診をしてもらうとより安心だと思います。

大阪府歯科医師会及び地域歯科医師会では、訪問診療や訪問口腔衛生指導を行っておりますのでお気軽にご相談ください。

 


■インプラントも歯槽膿漏になる?

スウェーデンにあるルンド大学の教授であったブローネマルクが、1952年にチタン金属が拒否反応を示すことなく骨と結合すること=オッセオインティグレーション=を発見し、その後イエテボリ大学にて研究し、純チタン製のデンタルインプラント(以下インプラント)を開発しました。65年には純チタン製のインプラントの臨床応用が開始され、今現在50年余りが経過します。20210520.png

彼の功績は、ノーベル賞にも値し「デンタルインプラントの父と呼ばれたのですが、2014年12月20日享年85歳でこの世を去りました。

現在、フローネマルク教授が開発したブローネマルクシステムを基に、世界中でさまざまなインプラントが開発され、その数は100種類以上、コピー品も含めると300種類を超えるとも言われています。

今では、これらのインプラントも多くの患者様に受け入れられ市民権を得るようになりました。
その構造もまた先に述べたオッセオインティグレーションをさらに強固なものとして進化を成し遂げ、顎骨の中での安定性と成功率を高めています。

しかしながら、歯槽膿漏(歯周病)により歯を失ったような患者さんの場合には口腔内に歯周病菌が多く存在するため、インプラント治療を行った際、再びそこにプラークが付着し歯周病菌が繁殖しやすい環境となります。つまり、インプラントの歯周病=インプラント歯周炎である感染症に罹患するのです。

これを防ぐためには、日頃から口腔のブラッシングをしっかりと行い歯周病菌を減らしておくことが重要です。気づくのではなく、今、しっかりと口腔内ケアを行うことが、将来のインプラント治療の成功につなげる秘訣であることを知っていただければ幸いです。



■インプラント治療

インプラント治療とは、入れ歯やブリッジのように歯がなくなった場所に歯を創る治療のひとつです。ブリッジは、歯がなくなった場所の両隣の歯を支えにして歯を補う方法ですが、インプラントは、骨の中に人工歯根の金属を埋め込み、その上に1本の歯を作ります。この金属の多くはチタンという材料とされています。そのため、隣の歯を削ったりする必要がありません。このことは大きな利点です。

インプラント治療と義歯やブリッジとの大きな違いは手術が必要なことです。一度骨とくっついたインプラントは簡単に変更することができません。そのため治療に入る前にはさまざまな審査が必要になります。手術の程度は埋めこむインプラントの本数や患者さんの骨の量によって違いがあります。手術に伴って、思い心臓病や糖尿病などの全身的な病気のある人は、治療前に内科の先生ともよく相談する必要があります。

また治療の費用も多くの場合は原則保険適用でないため、全額、患者さん本人の負担となります。インプラントは人工材料であるため虫歯にはなりませんが、インプラント周囲炎と言うインプラントの周りの骨が壊れる病気になります。進行するとせっかく手術で埋入したインプラントを除去することもありますので、事前に残ってる虫歯や歯周病の治療を終了させておくことが大切です。

そして、治療後も定期的に健診を受けることが重要です。

 


■口が開かない!?

「口が開かない、口が開きにくい、口を開けるとあごの関節が痛い」などの開口障害はさまざまなことが原因で起こります。

親知らず周囲の歯肉の炎症(智歯周囲炎)により口が開かなくなることがよくありますが顎関節症または解剖学的な原因で起こることもありますので、治療には歯科医院で正しく鑑別診断してもらう必要があります。

診断する上で大事な情報として

(1)口が開かなくなった時期(ずっと前からか・最近急に開かなくなったのか)
(2)痛みはあるのか・痛いのはどこか(顎の関節か、顎やこめかみの筋肉か)
(3)口を開け閉めするとき音がするか(カクン、ジャリジャリなど)

といった項目があり、詳しく説明できるように要点をまとめて来てもらえると、情報の取りもれがなく、正しい診断につなげることができます。

開口障害の原因が智歯周囲炎などの炎症が原因の場合には、炎症が治まれば自然に治ることもありますが、多くは抗生物質で炎症を抑え、原因歯を抜歯することでおさまります。顎関節症が原因の場合には、咀嚼筋や靭帯の痛みによるもの、間接円板(顎をスムーズに動かす軟骨でできた組織)の偏位によるもの、顎間接の変形によるものなど6種類の鑑別診断が必要とされ、マウスピースを使用するなど、それぞれに対する治療法が異なります。

最近では、痛みがほとんどなく、顎を前後左右に動かすことはできるが、指2本がやっと入る程度にしか口が開かないという病気が注目を集めています。「咀嚼筋腱・腱膜過形成症」といい、痛みがないので本人は病気である認識がなく、歯石を取るとは口が開かないために、歯科医院で初めて浸かることが多いそうです。20210506.png

これには外科治療で対応せざるを得ません。症例にもよりますが、術後のリハビリで指が4本入るまでに改善できる場合があるそうです。

口が開かないなどの症状が出た際には、さまざまな原因がありますので、まずはかかりつけの歯科医院で相談してみてください。



■口の渇き大丈夫?

最近お口が渇いて仕方がない、食事の際に痛みがあり飲み込みづらい、入れ歯ががたついてよく落ちるなどの症状をお感じになられたことはありませんか?

それは最近話題になっている口腔乾燥症が原因かも知れません。現在、口腔乾燥症の潜在患者数は推定800万人とも言われています。原因としては加齢による唾液腺の機能低下、特定薬剤による副作用、放射線治療の後遺症などが考えられます。唾液分泌量の目安は、安静時15分当たり1.5ミリリットル以下、刺激時は10分当たり10ミリリットル以下とされています。

ただ、前述のような症状を感じてもさほど重篤な症状ではないため、患者自身があきらめ、放置される傾向がありまます。歯科としても、これまではあめ、ガムなどを用いて唾液腺に刺激をあたえることや、うがいの励行、こまめに水分摂取、保湿剤の使用などを指導するぐらいでした。

しかし、最近の研究から口腔乾燥症によりむし歯が進行し、また歯周病の重症化を引き起こすので、内臓や循環器の疾患の遠因とも言われるようになってきました。そこで歯科からの取り組みとして従来からの対症療法だけでなく、特別な装置をお口の中に用いて積極的に水分補給する事ができないかと考えられています。

具体的には、マウスピースに吸水袋を取り付けた物や、入れ歯やかぶせに空洞部分を作り貯水槽として水分を注入し、お口の中を常時湿潤じょうたいに保とうとするものです。ただ現段階では装置自体が大きいため、違和感が非常に強かったり、給水量が十分でなかったりと、お口の乾燥状態を解消するには至らないといった問題点や改善個所が多いので、これらの研究課題となっています。

 



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