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■むし歯と唾液

1989(平成元)年より厚生省(当時)と日本医師会が推進している8020運動は、80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという運動です。2015(平成27)年現在、平均保有歯数20本以上達成している年代は69歳までであり70歳以上は平均保有歯数20本をきっています。

歯を失う原因としては、大きく分けて、「虫歯」と「歯周病」の2つがあげられます。これらむし歯と歯周病の予防策として一番にあげられるのは汚れをとることです。日本人の大半は歯みがきの習慣があります。しかし、汚れを的確にとりきれていないのが実情です。歯科医院に行き、ブラッシング指導を受けることにより予防の効果は高まります。

むし歯の予防にとって、唾液も大変重要な要因の一つとして考えられています。唾液には、歯や粘膜表面から汚れを洗い流す作用がありますし、飲食により酸性に傾いた口の中を中性に戻す作用もあります。

また、唾液の中にはカルシウムや無機リン酸などが含まれており、歯の表面を再石灰化する役割もあります。また、ラクトフェリンや免疫グロブリンなどの抗菌作用を有する成分も含んでいます。その他に、唾液は発音や会話をスムーズにするための潤滑油の役割も、もっています。このようなことから、唾液が少ないとむし歯になりやすくなると考えられています。

この唾液は血液から作られており、大人の人では一日に1〜1.5リットル作られていますが、緊張やストレスによりその量が減ります。また薬の影響で減少する場合もあります。唾液が出にくくなるシェーグレン症候群という疾患もあります。

唾液を検査することによりむし歯になる危険度がわかりますので、口の中がねばねばしたら一度歯科医院いくことをお勧めします。



■酢の健康法

ある日、診療所に50代の男性が来られました。定期健診の時期も過ぎて半年ぶりの来院です。歯が少ししみるのでむし歯じゃないかと言うのです。お口の中を見て直ぐに異変に気づきました。前歯が「薄く」溶けています。

毎回歯の写真を撮っているわけではありませんが、半年前は絶対にこんな歯ではかなったはずです。「この半年で何か習慣が変わったことはないですか? 食生活とか」と尋ねました。「そう言えば、健康のためにお酢を飲むようになりました。家族は薄めて飲んでいますが、私は原液で飲んでいます」

あらかじめ断っておきますが、お酢は身体にとてもいいものです。疲労回復をはじめ、さまざまな長所があります。ただ酸性度が高いため、特に原液ともなると歯が溶けていくのです。このようにむし歯とは関係なく「酸」によって歯が溶けることを「酸触症(さんしょくしょう)」といいます。他にも酸性度の高い食品は多く、これらを習慣的に摂取することで酸触症は起こります。

代表的なものではレモン、ミカン、グレープフルーツなどの柑橘系の果物やジュース、炭酸飲料やスポーツ飲料など、おおまかにいうと「酸っぱいもの」、また食品ではありませんが酸性の強い温泉水などの引用も酸触症を起こします。

これらの食品を摂取する時は注意が必要です。このお酢のように薄めるよう指示があれば必ず薄めてください。原液は歯にとって非常に危険です。それから、口の中に残った後味を楽しまず、早めに水でお口をゆすいでください。

身体に良い食品の摂取をやめる必要はありません。少しの弔意で歯を溶かさないよう防ぐことができるのです。