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■歯科領域でのX線の被ばくは?

昨今、診療時の被ばくについて興味をもたれる人が増加傾向にあると感じられます。私たちを含む地球上の生き物の中で自然放射線(自然界にもともと存在している放射線の総称)に耐えることができなかった生き物は絶滅しています。

これまで生存してきた地球上の生き物は、ある程度自然放射線に関して問題のない生き物が生き続けているようです。

現在、歯科の領域でのX線を用いた画像診断は、限定された範囲を精密に診るためのデンタルX線写真、口腔内全域を見るためのパノラマX線写真、歯科専用のCTの三つが主に用いられています。

1988年国連科学委員会の報告では、1年間普通に生活した場合、全世界の平均では年間244マイクロシーベルトの自然被ばくがあると報告されています。ただし、地域によっても差があり、高地では空気が薄くなることによって遮蔽性がへるため、宇宙からの放射線は155メートルごとに約2倍になると言われています。

あるいは身近な例として東京ーニューヨーク間を飛行機で往復した場合にはそれだけで約190マイクロシーベルト程度の被ばくの可能性があるとされています。

さて、一般的な歯科用X線装置で1回撮影を行った時の被ばく線量は、デンタルX線写真では約10マイクロシーベルト、パノラマX線写真では約30マイクロシーベルト、CTでは約100
マイクロシーベルトとの報告がされております。

この数値は一般生活における被ばくの数値とかけ離れた値ではありません。被ばくは少ない方が良いですが、歯科診療のために必要なX線撮影による被ばくは、安氏な範囲と理解していただきたいと思います。ただし、妊婦や乳幼児の方はその影響に配慮して緊急以外のX線撮影はなるべく避けた方がよいと思われます。



■癌化学放射線療法における歯科治療の重要性

抗癌剤は、癌細胞を破壊するのと同時に正常細胞にもダメージを与えます。口腔粘膜の再生機能が阻害されるため分裂の早い口腔粘膜の細胞が影響を受けやすく、30〜40%の割合で口腔粘膜炎などの口腔合併症が現れ、そのうちの半数は重症化します。

特に白血病等の治療として行われる抗癌剤の大量投与や造血幹細胞移植では80%に強い口腔粘膜炎が起こります。また口腔領域が放射線治療の照射野に入る頭頸部癌患者では100%発現します。

抗癌剤は免疫力を低下させるため、口腔粘膜炎が起こると、その傷口から最近やウイルスが入り健康なときより感染しやすくなります。口腔合併症には、このほか、味覚異常、歯肉出血、むし歯や歯周炎が原因の口腔感染、ヘルペス感染、カンジダ感染、歯の知覚過敏、口腔乾燥などがあります。

放射線治療は、癌細胞が正常細胞よりもどんどん早く細胞分裂するので、放射線を照射することにより、正常細胞にはあまり影響を与えず、癌細胞にダメージを与えていく治療法ですが、照射範囲内の皮膚や粘膜等の正常細胞にも照射線量が増えることにより影響が出てきます。

特に頭頸部癌の放射線治療では、照射野に口腔粘膜や唾液腺などが含まれるため、口腔粘膜炎や唾液腺障害(口腔乾燥)などの副作用が必ず出現します。ほかには味覚異常、放射線性う蝕(むし歯)、軟組織壊死、放射線性骨壊死などがあります。

口腔粘膜炎や味覚異常、口腔乾燥等は抗癌剤単独の場合より症状が強く、長期化します。このような口腔合併症が重症化すると、癌治療そのものを延期または中止しなければならないこともあり、治療成績・予後に悪影響を与えます。これらのトラブルは口の中や歯の衛生状態が悪い人ほどよく起こります。

癌治療が円滑に完遂するためには、口の中を清潔に保ち、癌治療前にむし歯や歯周病の治療をして、治療後も適切な口腔ケアを継続することが重要です。

かかりつけの歯科医院で定期的な診察を受けて、常に良好な状態を保ちましょう。